designペルシャ絨毯のデザイン
- 【ペルシャ絨毯のデザイン】
- ペルシャ絨毯と聞いた時にどんな柄をイメージされますか。
代表的な柄は中心柄のメダリオンですが、敷物としての歴史が最も深いペルシャ絨毯には、
様々な柄と変化の過程があります。
どのように生まれ、どのような進化を遂げたのか。
ここでは、ペルシャ絨毯の多種多様な柄について解説します。
- 【メダリオンデザイン】
- 「メダリオン」とよばれるデザインです。
ペルシャ絨毯といえばというほど象徴的な柄で、時代を問わず人気な柄です。
フィールドの中心にメダリオンを配し、周りをボーダーで囲んでいるものです。
四隅にコーナー と呼ばれる様式を持つものもあり、メダリオン・コーナー・タイプと分類されます。
花柄やエスリーミ(唐草)などと組み合わせて、全体を構成されたものが多いです。
絨毯では最も典型的なデザインであるメダリオンには、円形・楕円形・八角形・ダイヤ形・花弁形・星形、などさまざまな形のバリエーションがあります。
メダリオンは、部屋のどこからでも見ることが出来るように構成されています。また、逆にメダリオンの上に支配者が座っても、まわりが同様に見えるようなデザインになっていました。
メダリオンを太陽、宇宙の核とみなす考え方があるように、中心の聖なるものであることは、写本の装丁やモスクの天井タイルなどに用いられることの意味と共通するものです
- 【パジリク】
- 「パジリク」と呼ばれるデザインです。
パジリク柄は、現在知られている中で最も古い絨毯の柄として知られています。
パジリク絨毯のデザインは、中央に動物や騎士が描かれており、その周囲には幾何学模様が施されています。
これらのデザイン要素は、当時のペルシャ文化や宗教、社会生活を反映しています。
パジリク絨毯の発見は、ペルシャ絨毯の起源に関する研究に大きな影響を与えました。
この絨毯は、ペルシャ絨毯の製作技術が既に非常に高度であったことを示しており、
ペルシャの織物技術がいかに優れていたかを物語っています。
また、パジリク絨毯のデザインには、古代ペルシャの宗教や神話に関連するモチーフが
多く含まれており、これにより当時の文化的背景を垣間見ることができます。
- 【メヘラブ】
- 「メヘラブ」と呼ばれるデザインです。
メヘラブデザインは、イスラム教の礼拝堂であるモスクの壁龕(にち)を模したデザインです。
メヘラブは、ムスリムが祈る際にメッカの方向を示すために使われる重要な要素であり、
このデザインは絨毯の中心にアーチ型の模様を配し、その周囲に植物や花のモチーフを描くことが一般的です。
メヘラブデザインの絨毯は宗教的な象徴性が強く、礼拝や瞑想の場にふさわしい神聖な雰囲気を醸し出します。
メヘラブデザインの絨毯は、イスラム教徒にとって非常に重要な意味を持っています。
このデザインは、礼拝の際に使用されることが多く、絨毯のデザインには細心の注意が払われます。
メヘラブのアーチは、イスラム建築における典型的な要素であり、その美しさと象徴性が絨毯のデザインに取り入れられています。
メヘラブデザインの絨毯は、その神聖さと美しさから、家庭の装飾品としても人気があります。
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- 【へシティ】
- 「へシティ柄」と呼ばれるデザインです。
ヘシティデザインは、ペルシャ絨毯の中でも人気のあるデザインの一つです。
各パネルには異なる図柄が描かれており、絨毯全体が視覚的に非常に豊かで魅力的なものとなっています。
一見すると、各パネルが独立しているように見えますが、全体として一体感があります。
ヘシティデザインの起源は、古代ペルシャの建築や装飾にあります。
特に、ペルシャの庭園や宮殿の装飾に見られる幾何学模様や植物が、このデザインに影響を与えています。
ヘシティデザインの絨毯は、視覚的な美しさだけでなく、製作過程における技術的な挑戦も評価されています。
各パネルのデザインを均等に織り込むためには、高度な技術と熟練した職人の手が必要です。
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- 【ボテ柄】
- 「ボテ柄」と呼ばれるデザインです。
ボテ柄は、ペルシャ絨毯の中でも最も有名なデザインの一つです。
西洋ではペイズリー模様としても知られており、その起源は古代ペルシャの火焔文様に遡るとされています。
ボテ柄は、涙滴や小さな葉の形に似ており、その連続的な模様が絨毯全体に描かれることで、
視覚的なリズムと調和を生み出します。
このデザインは、生命や豊穣を象徴するものとしても解釈されており、そのため多くの人々に愛されています。
ボテ柄のペルシャ絨毯は、その繊細な美しさと独特のデザインで知られています。
このデザインは、織物全体にわたって繰り返されることで、視覚的な統一感とリズム感を生み出します。
ボテ柄はまた、その象徴性から、様々な文化や宗教的な背景を持つ人々に愛されています。
ペルシャ絨毯の中でも特に人気のあるデザインであり、その美しさと意味深さから、
多くの人々にとって大切な装飾品となっています。
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- 【オールオーバー】
- 「オールオーバー」と呼ばれるデザインです。
オールオーバーデザインは、絨毯全体にわたって繰り返されるパターンが特徴です。
この柄には、連続する花柄や葉柄、アラベスク模様が含まれ、中心に特定の焦点を持たないため、どの方向から見ても均一な美しさを保ちます。
オールオーバーデザインは、特にホラサン地方やカシャーンでよく見られます。
このデザインは、絨毯全体にわたる一貫したパターンが視覚的に魅力的であり、特に大きな部屋や広いスペースに適しています。
パターンの複雑さと繰り返しの美しさが、絨毯に動きとリズムを与えます。
- 【ハンティング】
- 「ハンティング」と呼ばれるデザインです。
ハンティングは、狩猟をテーマにした絵画的なデザインです。
これは、古代ペルシャの王族や貴族の狩猟活動を描写したもので、馬に乗った狩人、鹿、鳥、
その他の動物が生き生きと描かれています。
このタイプの絨毯は、ストーリー要素が強く、美術的価値が高いとされています。
狩猟シーンは、力強さと冒険心を象徴し、その描写には細部にわたる繊細な技術が要求されます。
- 【ゴンバット】
- 「ゴンバット」と呼ばれるデザインです。
ゴンバット柄は、ペルシャ絨毯のデザインにおいて象徴的な柄です。
ゴンバットという名前は、ペルシャ語で「ドーム」を意味し、このデザインがイスラム建築のドームに似ていることから名付けられました。
周囲には、放射状に広がる花柄、葉柄、またはアラベスク模様が配置され、全体としてバランスの取れたデザインになっています。
左右対称になっていることからも敷く場所を選ばない使い勝手の良いデザインです。
- 【Tree of life】
- 「Tree of life」又は生命の樹と呼ばれるデザインです。
生命の樹のデザインは、絨毯の中心に大きな木が描かれ、その木の周囲には動植物が配置されることが一般的です。
この木は、天と地をつなぐ象徴として描かれ、その枝葉には鳥や花、果実が豊かに描かれることが多いです。
生命の樹のモチーフは、古代ペルシャの宗教や神話に深く根ざしています。
ゾロアスター教やミトラ教といった古代宗教において、生命の樹は宇宙の中心、再生、永遠の命を象徴する重要なシンボルとされていました。
このような宗教的・文化的背景が、ペルシャ絨毯のデザインにも影響を与えています。
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- 【マヒ】
- 「マヒ柄」と呼ばれるデザインです。
ペルシャ絨毯の中でも非常に人気があり、緻密で複雑なデザインが特徴です。
魚の形を基にしたデザインがその名の由来であり、「マヒ」はペルシャ語で「魚」を意味します。
ホラサン地方やタブリーズなど、イランの多くの地域で見られるこのデザインは、
その細部までこだわった模様が魅力です。
マヒ柄の絨毯の中心には通常、ダイヤモンド形や六角形のモチーフが配置されています。
この中央モチーフは絨毯全体の焦点となり、その周囲に広がるパターンの起点となります。
メダリオンに次ぐほど人気の柄で、迫力のあるデザインになっています。
- 【Picture】
- 「ピクチャー柄」と呼ばれるデザインです。
ピクチャー柄はペルシャ絨毯の中でも特に絵画的な要素が強く、物語や風景、
歴史的なシーンなどを描写するデザインです。
このデザインは、絨毯という織物をキャンバスに見立て、アーティストのように描かれることから、
その芸術的価値が非常に高いとされています。
絵画のような美しさと物語性を持つこれらの絨毯は、人物、動物、風景、歴史的なシーンなど、
さまざまなテーマが含まれ、単なる装飾品を超えたアート作品としての地位を確立しています。
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